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執筆者の写真冨永ボンド

美術教育で絵を失った人たちへ

更新日:2020年2月6日

こんにちは!

冨永ボンドです。


 

久しぶりの長文ですが、お時間のある際にご一読いただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。




 

 

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「子どもの頃は、絵を描くのが好きだった」

「子どもの頃は、絵が得意だった」

 

 

でも..........

 

 

「小学校の図工の時間に先生に絵を直されて、それがショックで絵を描くことが出来なくなった」

 

「小学校の時に描いた作品を先生に「違う!ダメ!そうじゃない!」と言われ、表現することに憶病になった」

 

「中学校で美術部に入ったが、好きな絵を描くことが出来なくなって描くのを辞めた」

 

 

 

これは、よくある事実です......

 

 

 

元々、絵が得意だったのに、美術教育によって絵を失ってしまう人たちが世の中には大勢います。

 

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 

 

ねえ、そういう事する先生たちさ、

あんたら一体何様ですか。

 

子どもはどんな大人よりも天才なんやぞ?

天才の感性を早いうちから摘み取るな!

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 

 

 

って思います......正直。

皆さんは、どう思いますか?

 

 

 

 

 

―――先日、また一人、

そんな女の子に出会いました。

 

 

彼女は現在、中学3年生。

絵を描くことが大好き"だった"

発達障害の女の子です。

 

彼女は、記憶力と観察力が人並み外れて優れており、何年も前のことを鮮明に記憶できる能力がある。幼い頃から絵を描くことが大好きで、写実的な絵画やデッサンが得意だったそうです。

 

 

 

しかし、小学校の時......

描いた絵を先生に無理矢理.......

直されてしまった......

 

 

 

その時のことを、彼女は昨日のことのように鮮明に覚えているそうで、数年経った今でも彼女はまだ、絵を描くことが出来ません。

 

彼女は、僕のボンドアート創作ワークショップに参加していました。自由度の高いボンドアートは言うまでもなく、彼女にとってはハードルが高すぎて、最後の最後まで、絵筆を手に持つことさえ出来ませんでした。

 

僕は、何とかして彼女とコミュニケーションを取ろうと、必死に頑張りましたが、時折笑顔を見せてはくれるものの、理解できない言葉が返ってくることに僕の方が戸惑ってしまい、結局最後まで何もしてあげることが出来なかったんです......

 

 

 

過去6,000人の方にボンドアートで作品を創って頂きましたが、最後まで絵筆をとることが出来なかったのは............彼女が初めてでした......。 

  

  

 

......とても残念で、悔しかったです。

 

 

 

自分の無力さを感じたのと同時に、

怒りが沸き上がりました。

 

何故、彼女は大好きな絵を......

失わなくてはならなかったのか.......

 

当時の先生が彼女に対して、どのようなことを言ったのか、どのようなことをしたのか、どのような批評をしたのか、それは彼女にしか分かりませんが、トラウマになっていることは事実で、それが原因で不登校になったことも事実です。

 

 

 

どこの誰か知らんけどさ、

どっかの先生、これは

すごく残念な事ですよ......

 

 

 

 

しかし!

 

 

 

 

僕は決して、美術ならびに美術教育を否定しません。

むしろ、美術は絶対に無くしてはならないものです。

 

なぜなら、美術には、人類がこれまで培ってきた長い歴史の中で生まれた「美」という概念と作品たち、画法や手法、作品のストーリーと作家の生き様、時代と美の関係を後世に伝えていくという重要な役割がありますし、それを担う人物を育てなくてはならないからです。美術の分野の先生方が研究を続けられ、それを実践する美術家の皆さんがいるからこそ、今、我々が使っている画材が発明されるわけだし、先生たちがいなかったら僕たちは活動していけない。画を描きたくて自ら進んで美術教育を受けている人たちが向かうべきところを失うからです。

 

歴史の中にある、美の基準は失ってはなりません。

伝統は受け継いでいかなくてはならないのです。

 

  

 

 

ただ!ただですよ?

 

『 美術だけだと、ダメだと思いませんか? 』

 

  

 

 

これからの時代、人間の創造力が更に大事になってくるっていうのに、感性を育まなくてはならない子どもの時期に、技術の代わりに感性を殺しちゃだめでしょう!

  

美の歴史に基づいた技術や文脈は大事です。美術は失ってはならない学問です。でもそれと同じくらい大事なものを、子ども達は持っているのではないでしょうか!

  

 

 

 

もう一度、言いますよ。

 

『 美術だけだと、ダメだと思いませんか? 』

 

 

 

 

美術の評価軸で測ることの出来ない作品や表現がある。そういった人たちや、自由に表現し続けたい子どもたちのために「アート」とか「表現」とかっていう別の教育科目を設けなくてはならないのではないですか!!

 

 

 

ってことを言いたいんです。

 

  

 

  

僕はね、今まで本当に、たくさん

 

そういう人たちに会ってきたんです。

 

色んな会場に行ってワークショップやってて

 

「絵描きましょう?♪」っていうと、

 

「失ったんですよ....絵を」って、返されるんです。

 

悲しいですよ。本当に。悲しい。

  

なんとかしたいよね、いい加減。 

 

 

 

  

 

 

 

 

『 美術教育で絵を失った人たちへ 』

  

 

人は皆、子どもの頃は

「絵心」を持っています。

 

 

自由に描くのが楽しくて、

自由に創ることが楽しくて、

褒められるから大好きです。

  

 

でも、ふとしたきっかけで傷ついて、

皆さんは一時的に、それを失いました。

 

 

悲しかっただろうし、

辛かっただろうし、

苦しかっただろうと思います。

 

 

今は難しくても、

少しずつ少しずつ、

失ったものは、

取り戻すことができます。

 

 

無理にとは言いません。

楽しいと思うことから

やってみたら良いです。

  

 

創造力が豊かになれば、

人生が豊かになります。

 

 

そんなきっかけに、

ボンドアートがなれたらなって、

僕はいつも思っています。

 

 

 

 

人の数だけ表現があって、

それらは全て尊い力。

 

 

失った感性を、アートの力で取り戻す。

つまり、アートとは、リハビリテーション。

 

 

 

『 アートリハ=ボンドアート 』

 

 


アートで誰も傷つくことがありませんように。

心から願っています。

 


 

最後まで読んで頂き、

ありがとうございました。

 

 

No failure in Art.

冨永ボンド

 

 

追記)本稿は、すべての美術教員を否定するものではありません。理解のある良い先生も沢山いらっしゃいます。どうか皆さん、美術を嫌いにならないで欲しい。美術はずっと守っていかなくてはならない大切な文化だから。

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